日本マレーシア倶楽部 懇親忘年会開催
2016年を締めくくる日本マレーシア倶楽部懇親忘年会が、11月28日(月)午後6時からコートヤード・マリオット銀座東武ホテル2階「芙蓉」で開催されました。
都心では11月としては54年ぶりに初雪を観測したほか、明治8年の統計開始以降、初の積雪を観測するなど、夏の暑さとは逆にいきなり冬将軍が現れ、政治経済ばかりでなく気候までもが不透明感に覆われた初冬となりましたが、日本マレーシア倶楽部懇親忘年会は、多数の参加者で春のような温かさと秋のような爽快さを感じさせる素晴らしい集いになりました。
懇親会は、大川善輝理事の軽妙洒脱な司会進行により、第一部は講演会、第二部は懇親会という二部構成で開催されました。
第一部の講演会は、経済産業省の相川敬子氏にお引き受けいただきました。
相川氏は、小学生時代にマハティール首相のルック・イースト政策を知り、大学生時代は卒業旅行でマレーシアを訪れ、その熱気に触れた経験をお持ちで、経産省入省後は、2013年に在マレーシア日本国大使館に赴任。3年間の駐在を経て本年6月に帰国されました。
このようなバックグラウンドをお持ちになる相川氏から「マレーシアの今」を演題にマレーシア事情の近況についてお話しいただきました。
※なお、ここに示す内容は相川氏の見解であり、氏が所属する組織の見解ではありません。
講演は、マレーシアの国内政治、国際関係、経済、産業構造、企業活動、日本との関係など多岐にわたる分野のお話で、当倶楽部会員の多くが駐在していた時代と大きく様相が変わったことを実感する内容でした。
中国の進出などでマレーシアに於ける日本のプレゼンスが低下して来ている中、「中進国の罠」に嵌るまいと変化し成長する同国に対し、さらに理解を深め、従来から続く国民レベルの好意的な関係を維持しつつ、より進化した関係を築いて行くことが重要であると感じることが出来た大変有意義なお話でした。
講演後、相川氏は次のような言葉を寄せられました。
「マレーシアから戻って半年になろうとしていますが、改めて、自分が過ごした3年を振り返ることになり、そういえばこうだったなと発見することが多かったように思います。
事例をつらつら述べるだけだったので、皆様が望むようなお話をさせていただけたのか、心許なく思っておりましたが、やはり、10年の歳月というのは、世相を一変させるのに十分な年月なのかなと思いました。
現在の在馬日系企業は、特に製造業において、外国人労働者の確保に頭を悩ませる企業が多いです。
マレーシアのASEANでの立ち位置や重要性は、日本で正当に評価されているのか疑問に感じることがあります。大使館で勤務しながらASEANとしての一体性を確保するために、マレーシアが果たしている役割は大きいと感じていましたし、人口や市場規模以外での役割に、もう少し目を向けても良いのではないかと思っていました。
そうした中、日本に戻ってからも、マレーシアと縁のある方の集まりがあり、マレーシアを応援する取組があることを知り、個人的にほっとした心温まる一日を過ごさせていただきました。」
講演に引き続き、ゲストである東京外国語大学のPuanFaridah先生から、
「世界を食べよう!―東京外国語大学の世界料理―」(沼野恭子編)と数冊の図書を紹介していただきました。その場で購入可能ということでしたので、多数の来場者が購入されました。
第二部は懇親会です。
冒頭、町田博淳理事長からスライドを使った当倶楽部の2016年活動状況と2017年活動計画の報告がなされたあと、臼井誠一副理事長の乾杯の発声で懇親会が始まりました。
会場は、相川氏の講演を話題にしたマレーシア談義、今年の活動についての思い出話、自身の近況報告や韓国の状況、アメリカの大統領選挙などなど多岐にわたる話題について、会場のあちこちで楽しい言葉が交わされました。
会半ばになり、6月の懇親会で講演をしていただき、ゲストとしてお迎えした栗山昌子大使夫人のご夫君、栗山尚一氏 著の「戦後日本外交―軌跡と課題」(岩波現代全書)が紹介されました。
戦後日本外交を俯瞰するには格好な名著であり、将来の日本を考えるには必読の書だと言えます。
懇親会も後半を迎え、来場された来賓、留学生、初参加の方々をご紹介、それぞれショートスピーチを頂きました。当俱楽部と関係の深い方々からのスピーチだけに、一層活気に満ちた明るくフレンドリーな雰囲気一杯の会場となりました。
中締めの前に、公益社団法人 マナーキッズプロジェクト理事長の田中日出夫会員から、氏が行われている活動の一つである正しい姿勢をもたらす“体幹を鍛える運動を”ご披露いただき、参加者全員が田中さんの号令に合わせてエクササイズを行いました。
中締めは、西田重信理事のリードで、“段々良くなる・一つ目上がり”で執り行われました。
“段々良くなる・一つ目上がり”は、まず人差し指だけで“タタタン・タタタン・タタン・タン”と一本締めの要領で静かに拍手し、次に人差し指+中指の二本で拍手し、次に人差し指+中指+薬指と続け、最後に五本全部の指を使って大きく拍手する(五本締め)というもので、今後の縁起が良くなることを願って行うものです。
この末広がりで縁起の良くなることを願う手締めをもって、熱気と笑顔と楽しさいっぱいの懇親忘年会は、午後8時30分にお開きとなりました。