クアラルンプール通信

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鰤のあら

先日、日本のテレビ番組で、今年は富山の寒ブリが不良で、値段が例年の3倍にもなっており、1本15万円もしているというびっくりするようなニュースを視ました。

ここマレーシアではこんなプラチナブリは手に入れようがありませんが、日系のスーパーで、産地不明ながら日本から空輸された新鮮なブリが買えます。

空輸されたブリは解体され、寿司ネタや刺身にして結構いい値段で売られていますが、企業の駐在員家族や購買力の上がったローカルに人気で、よく売れているようです。
解体された際に出る頭部や骨はあらとして比較的安価に別売されています。

節約生活を強いられているブリ好きの年金生活者はあらしか買えませんので、定番の“ブリ大根”ということになりますが、塩を降って湯通しするなど、ちゃんと手間さえ掛ければ、満足のいくおかずが出来上がります。

スーパーのぶりは素材としては申し分ありませんが、一つ不満がありました。
バックヤードで解体している担当調理人の腕が良すぎるためか、骨に殆ど身が残っていないのです。
このため、“ホネブリ大根”になってしまうという不満がありました。

ある場所の新年会でスーパーの社長(Y氏)と話をする機会がありました。
上等のお酒をしっかりいただいていい気分になっていたためか、賞賛と冗談交じりで次のようなクレームを言ってしまいました。

「御社の魚売り場の社員はローカルだと思いますが、腕が良すぎてブリの骨に身が残ってないじゃないですか。動物のエサじゃなく人間の食べ物として店に並べるんなら、もっと身を残すべきだと思いますよ。」

数日後、スーパーに買い物に行くと、骨にたくさん身が残ったブリのあらが並んでいるではありませんか。
その日の夕食には豪華なブリ大根が食卓を飾ったことは言うまでもありません。

それから何日かしてY氏に会う機会がありましたので、“身がたくさん付いたあらが並んでいた”ということを話すと「売り場の責任者に伝えておきました」という答えでした。
“言ってみるもんだなア”ということより、Y氏の実直な人柄に感じ入った次第です。

ところが最近、スーパーは販売方針を変えてきたようで、あらを2つのカテゴリーで売るようになってきました。
すなわち、頭やかまの入った高価な“人間用あらパック”と身がほとんど付いてない骨としっぽだけの安い“犬のエサもどきあらパック”の2種類を売るようになったのです。

“文句があるんなら人間用あらパックを買いなさい”ということでしょうか。
節約生活を強いられている年金生活者はあらといえど高価な人間用あらパックにはなかなか手が出ません。
止む無く安いほうを2パック(RM11)購入しました。

これで早速ブリ大根を作って食べたところ、大事件が起きました。
殆ど身の付いていない骨にしゃぶりついていたところ、口内上部で鼻腔との境界あたりのややこしいところに小骨が刺さってしまったのです。

カミさんは「ご飯を丸呑みにすれば取れるわよ」と呑気なことをいいます。
ワラにもすがる思いでトライしましたが、場所が場所だけに何の効果もありません。

カミさんも深刻さを少し感じたようで、救急病院まで運転してくれました。
夜の9時過ぎでも待合室は結構賑わっていましたが、やっと自分の番になりました。
当番医はちょっと診ただけで、「専門医を呼ぶから1時間30分ほど待合室で待っていなさい」といいます。
11時過ぎに中国系の当番専門医が遠方から車を飛ばして汗を拭き拭きやってきました。

別棟にある彼の診察室まで連れて行かれ、ファイバースコープを喉と鼻の奥に突っ込まれました。

ちょうど明日から中国正月です。
日本では大晦日にあたる夜の当番医になっていたところに“面倒な患者が現れたもんだ”という気持ちがあったのか、患者が“オエッー”といってもティッシュが涎と涙でぐちゃぐちゃになっても検査の手を緩めてくれません。

診察した結果は、「骨なんか何もありません」ということでした。
そんなことを言われても小骨が刺さったような違和感は依然として残っています。

「見落としてるんじゃないですか?もっとしっかりチェックしてみてください」
とアピールしますが、
「何もないよ。私の20年のキャリアで、例外は一つだけだった。今回は問題ない。」
と自信満々で、腹を突出して椅子に座っています。(例外は何でしょう?)

「骨が引っ掻いた時の感触が残っているんでしょう。念のため抗生物質を出しておきます。」
ということで、RM364払って帰宅した時には当然翌日になっていました。

あと1日分抗生物質は残っていますが、まだ鼻の奥がむずむずしているように思います。
“多少高くても人間用のあらを買ったほうがいいですよ”ということでしょうか、Y社長!

レポーター:KLボレボレ隊2号

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