2019年日本マレーシア倶楽部懇親忘年会開催

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令和初の日本マレーシア倶楽部懇親忘年会が、11月21日(木)午後6時30分よりコートヤード・マリオット銀座東武ホテル「芙蓉」で開催されました。
二部構成となる懇親忘年会は、司会進行役も務める臼井誠一副理事長の開会宣言によって幕が切って落とされました。

臼井誠一副理事長よる司会進行

第一部の講演会は、慶應義塾大学名誉教授 小此木政夫氏に日韓関係がこじれた状況にあって時宜を得た「袋小路に入った日韓関係」をテーマに講演をしていただきました。

小此木政夫 慶應義塾大学名誉教授

講演の要旨は次の通りです。

現在の日韓の摩擦の発端は、韓国人徴用工問題をめぐる韓国大法院(最高裁判所)の判決とそれに乗じた韓国政府による「現状変更」の試みにある。
これによって、日韓条約(1965年締結)や請求権協定の形骸化(解釈変更)が進行。基本的仕組みが崩壊するのではないかと恐れた日本政府は、それを阻止するために、本年7月に韓国向け輸出管理という劇薬を使用し、ある種のショック療法を試みた。
しかし、韓国の産業を支える半導体が対象であったことと、それが突然使用されたために、韓国側がパニックに陥って過剰に反応した。その結果が、GSOMIA破棄という形となって現れた。

更に、韓国の一般市民を日本製品不買運動に、中間派の知識人を大法院判決支持に集結させてしまった。韓国の司法手続きは、まだ進行中であり差し押さえで日本企業の資産が現金化されるようなことになれば、日本としてさらに報復措置を取らざるを得ず、泥沼の事態になる。

かくして、韓国と日本の「悪手の連鎖」が歴史摩擦を貿易、安保分野に拡大し、日韓関係を袋小路に追い込んだ。今後の韓国総選挙や日本の衆議院解散と絡んで紛争の長期化は避けれそうにない。日韓の歴史摩擦の原点には政治文化の違いもある。韓国は朱子学文化(どちらが正か邪か)を基礎に、日本は武家文化(合意したものは守らなくてはならない→悪法も法なり)を基礎にしている。
また、歴史論争は厳密な事実を争う論争ではない。日韓とも譲れないアイデンティティの衝突だと考えた方がよい。日本に併合された韓国の「反日」はアイデンティティ回復のための作業だと考えた方がよい。切り離せないこれらの要因は、問題が深刻であるにもかかわらず解決することを極めて難しくしている。

しかし、中国、北朝鮮の脅威や米中関係の動向など国際情勢が不安定な時に日韓が争っていて良いのだろうか?地政学的に見ても韓国の存在は極めて大きく重要である。目先の利益のために戦術的に衝突して、足元を奪われてはならない。
戦略的な全体像の重要性という視点に立っていくべきではないだろうか?
政治的な合意は事実が証明するように暫定的な解決であり再び覆る可能性がある。
韓国側が歴史問題に法律的な疑問を提起したのだから、日本側も法律的に対処すべきである。
従って、歴史問題を貿易や安保と結びつけるのではなく、日韓が合意して国際司法裁判所に判断を仰ぎ、国際権威の下で最終的な解決をはかる事が望ましい。そのような方向に進むだけでも、事態は改善されるのではないだろうか?

講演に聞き入る参加者

小此木名誉教授の講演後、「目から鱗の講演だった」、「自身でモヤモヤしていた論旨を見事に解決してくださった」「今回の講演は、ノンポリの私にとって大変タメになった」「韓国とは友好関係を維持して行くことが重要であるが、処方箋を示す論者は殆ど見当たらない。小此木先生の意見は思考のヒントを与えてくれた」など参加者の賛辞が相次ぎました。

素晴らしい講演を終えた後は、第二部の始まりです。町田博淳理事長の開会挨拶に続き、東 輝之理事によりスライドで当倶楽部の活動報告と活動計画が披露されました。

第二部開会の開会挨拶を行う町田博淳理事長
東 輝之理事による報告

飲み物で喉を潤しながら、2019年活動報告と2020年度活動計画の概要がスライドを使用して行われた後、マナーキッズ®プロジェクト田中日出男理事長の乾杯のご発声により懇親会が始まりました。

マナーキッズ®プロジェクト田中日出男理事長による乾杯のご発声

会も半ばを迎え、当倶楽部がマレーシアに於ける展開を支援・協力をするマナーキッズ®プロジェクトでマハティール首相に直接協力要請を行い基本的な了解を取り付けていただき、その足でクアラルンプールから駆けつけていただいたMr. Jaziri Alkaf A Suffianをはじめ、マレーシアからの留学生、留学後日本企業で働くマレーシアの方々などをご紹介しご挨拶をいただきました。

なお、会場でマナーキッズ®プロジェクト活動内容の理解のため、テレビ東京の「タケシのニッポンのみかた」のビデオを上映しました。

会場の随所で歓談の輪が広がりました

しばらく歓談タイムが続いた後、お楽しみラッキードローが行われました。賞品は小此木慶應義塾大学名誉教授の著書「「朝鮮分断の起源」が4冊、ナショナルジオグラフィックのトートバッグ4個、同ポシェット4個用意され、会場は大いに盛り上がりました。

当選番号を引く小此木名誉教授

楽しかった懇親会はあっという間にお開きの時間が近づいてきました。
懇親会のお開きは、山口県防府市大道の小俣地区に伝わる神事で、一回目は今年の収穫を喜び、二回目は来年の豊作を願い、三回目は今年の悲しみや苦しみを忘れるために腹の底から三回大声で笑う「笑い講」になぞらえ、磯貝隼人理事のリードで会場の参加者の皆さんと“わっはっは、わっはっは、わっはっは”の三笑をもって日本マレーシア倶楽部の本年度懇親忘年会をめでたく締め括りました。

三笑のリードをする磯貝隼人理事

次回恒例の夏季懇親会は、6月4日(木)午後6時より今回と同じコートヤード・マリオットマリオット銀座東武ホテル2階「芙蓉」で開催いたします。

皆様お気軽にご友人ご家族皆様お誘いあわせのうえ奮ってご参加ください。

イベント委員会



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日本マレーシア倶楽部の特徴

当倶楽部は、 日本とマレーシアの友好親善を推進することを旨として有益な情報やイベントに参加できる機会を提供する個人参加が基本の宗教や信条を問わない不偏不党を基本とした会員一人一人の意志と善意に基づく団体です。
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